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近視と近視抑制治療について

近視の進行が子供に急増し、強い近視の割合が増加しています。強度近視は成人した後の眼疾患のリスクが高まるため、小児期の近視進行防止の重要性を日本近視学会でも取り上げられています。

近視とは

近くのものは見えるのですが遠くは見えにくくなる状態です。
近視が進むことが、なぜ悪いかというと、将来目の病気になるリスクが大きくなるからです。

近視の進行を防ぐ生活習慣

日光に当たる

外で2時間くらい日光に当たり活動することが近視進行を抑制することがわかっています。

作業の際一定の間隔を取る

読書、勉強する、ゲームをするなど近くの作業をするときは、少なくとも30cmは話して、30分に1回は遠くを見て連続して作業を続けない事が大切です。

日本近視学会で示されている5つの治療法

日本近視学会で示されている「近視抑制治療」のなかで5つの治療法について説明します。

①低濃度アトロピン点眼による予防

小児の斜視や弱視の診断や治療に頻繁に使われているもので、 アトロピン点眼には近視進行を抑制する強力な効果があることが判っています。
シンガポールの研究で、通常検査で使用されているアトロピン点眼の100倍に濃度を希釈した0.01%アトロピン点眼であっても点眼を行わない場合に比べて屈折値で60%近い抑制効果があること、さらに点眼を中止した後もリバウンドが生じず、効果が持続することが示されましたより濃度の高い0.025%の点眼も使用でき、0.01%で進行する場合0.025%に変えて使用できます。

②オルソケラトロジーによる予防

オルソケラトロジーは、カーブの弱いハードコンタクトレンズを睡眠時に装着して一時的に角膜の形状を平らにし、良好な裸眼視力を得ようとする屈折矯正法です。
レンズを外しても一定時間はその形状が続くので、日中は裸眼で過ごすといったことが可能になります。しかし圧迫できる角膜の上皮には限界があるため、矯正量はガイドラインでは4ジオプトリー(中等度の近視)までとなっております。
オルソケラトロジーは、近視の矯正が得られるだけでなく、眼軸の延長が抑制される(通常の眼鏡やコンタクトレンズ比で平均30~60%の抑制効果)ことが多くの研究により示されており、10年を超える有効性と安全性の報告もあることから、比較的信頼性の高い治療法と言えます。
欠点としては、自由診療のため、初期に費用がかさむこと、適切な管理を怠ると角膜感染症など失明につながる重篤な合併症を起こすこともあります。
常に大人の管理の元で、使用方法を守り使用することが大切です。

③多焦点ソフトコンタクトレンズによる予防

多焦点ソフトコンタクトレンズは、近用の加入度数が付加された老視矯正のための遠近両用コンタクトレンズとして知られております。
海外では多焦点ソフトコンタクトレンズを子どもの近視進行抑制のために開発しており、オルソケラトロジーに匹敵する有効性が示されはじめております。 使い捨てコンタクトであれば、衛生面での管理が比較的容易なことから、国によっては、子どもの近視進行抑制のために使用される頻度は、低濃度アトロピン点眼やオルソケラトロジーを凌いでおります。
自分で取り外すといった自己管理が必要なため、比較的年齢が高い小児が対象となります。

④特殊な眼鏡による予防

海外では、周辺部の網膜に網膜の手前でピントが合う光をたくさん作用させたり、周辺部の網膜のコントラストを下げることで、近視進行を抑制しようとする眼鏡が販売されております。まだ日本で販売されていません。

⑤レッドライト治療法(red light therapy)

近年、近視研究者らの関心を最も集めているのが、レッドライト治療法(red light therapy)と呼ばれる治療方法です。
2014年に偶発的に、中国において長波長の650nmの赤色光が、過剰な眼軸延長を抑制する効果を有することが発見されていました。  2021年のアメリカ眼科学会雑誌に、レッドライト治療法の近視進行予防効果が発表されてからは、世界中で大きな話題となっています。 さらに長期的な検討も必要ですが、この治療で用いられる低出力の赤色光は、いわゆる可視光です。実施方法は非常に簡便で、たった1回3分、1日2回、可視光である650nmの赤色光を覗き込むことだけです。 治療を75%以上守ってきちんと実施してくれたコンプライアンスが良好な群のみを抽出した場合、その近視進行予防効果は実に90%近いものであった、と驚くべき報告があります。
事前に使用可能か目の検診をしっかり受ける必要があり、使用中も定期受診が必要です。器械を購入し、定期的使用料が必要です。

上記のうち①~③の治療がすみれ眼科で可能です。
⑤は30カ国で承認をされているものの、日本ではまだ未承認で日本で使用が開始されてまだ1年に満たず、当院においては日本おける使用成績の結果を確認し導入を検討中です。

オルソケラトロジーや②の多焦点コンタクトに相当するコンタクトと低濃度アトロピン(マイオピン点眼)や保険薬のミドリンMとミオピン点眼との併用がお薦めです。

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