涙道疾患

涙道疾患とは

涙腺から出た涙は、眼の表面を潤した後、目頭の方にある涙点から涙小管、涙嚢(るいのう)、鼻涙管(びるいかん)を通って鼻の中そして喉の奥に流出します。
涙点から鼻涙管までの間に閉塞(詰まってしまって流れない状態)や狭窄(細くなって流れにくい状態)があると、涙が正常に流れず、眼の中にあふれてしまいます。
また、涙嚢よりも鼻側に閉塞があると、目やにが出たり、涙嚢に膿がたまってしまう事があります。涙嚢が炎症を起こすと目頭が赤く腫れ、痛みも生じます。

涙道疾患の治療について

涙道の閉塞は目薬での治療が難しく、閉塞部を物理的に開通させて涙の排水路を確保する必要があります。これまでは、細い金属棒を涙道に挿入し、閉塞部を突いて再開通させる治療が一般的に行われていましたが、目に見えない部分を指先の感覚に頼って行うため、難易度の高い治療でした。
当院では、直径1mm以下の極めて細い内視鏡、涙道内視鏡を導入しており、涙道内の様子を目視で確認しながらの治療が可能です。
※直径0.7mmの、さらに細い涙道内視鏡を用いて、治療が必要かを判断するための検査を予約で行っています。

内視鏡を使った手術について

涙道内視鏡で状況を確認しながら涙道を再開通させ、涙点よりも細いチューブを挿入し、閉塞部分を拡張します。局所麻酔で約30分程度の手術ですので、日帰りで行います。挿入するチューブは細いので、外から見てもほとんどわかりません。
手術後は3週間毎に洗浄のために通院して頂き、挿入したチューブは3ヶ月ほどで抜去します。涙道内視鏡を用いたチューブ挿入術の費用は保険適用で、1割の方で約5千円、3割の方で1万4千円程度です。
涙道内視鏡を導入している眼科はまだあまり多くはありませんので、涙目や目やにが多く出る、目頭の炎症など気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。

先天性鼻涙管閉塞

先天性鼻涙管閉塞は生まれつき鼻涙管に膜のようなものが残り、涙が流れず、涙目や目やにがつづく病気です。医師によりまだ方針は少しバラつきがありますが、3ヵ月~1歳までに涙嚢マッサージなどで経過を見て、改善が無ければ、ブジーで開放する治療を行います。
これまで盲目的にこの治療はなされていましたが、検査用涙道内視鏡(先端0.7mm)で目視下でこの治療が可能となり、より精度の高い治療が可能です。
ブジーを行う時期は全国的にもバラツキがあり、生後8か月までは約80%自然治癒の可能性がある為、当院では9か月頃を目安に改善がなければ涙道内視鏡を用いてブジーを行っています。

涙嚢鼻腔吻合術とは(バイパスを作る手術)

涙嚢と鼻腔の間にある薄い骨の一部を一部取り除き、新たなバイパスを作る手術です。涙道がふさがっている状態が長く続き、炎症や癒着が起こっている場合は、「涙管チューブ挿入術」で治療できないため、この手術をおこないます。
この方法には、鼻内法と鼻外法があります。90%以上の成功率です。

鼻内法

鼻内法では、鼻内視鏡を用いて、鼻腔内から涙嚢に近い鼻粘膜を切開し、鼻骨を削って涙のう粘膜を出して切開します。上下の涙点よりシリコンチューブを挿入し、バイパスを通り、鼻腔内に入るように留置します。2か月程留置して抜去します。強い鼻中隔偏法やポリープ等がある場合は、先に鼻の治療をして頂く必要があります。

鼻外法

鼻外法は、目頭付近に約2cm程、皮膚切開を行って骨に到達し、涙のうと鼻腔の最も薄い部分の骨を削り、涙のう粘膜と鼻粘膜にトンネルを作成するように縫合します。上下涙点よりバイパスを通るようにシリコンチューブを留置します。シリコンチューブは、約2か月で抜去します。

※現在当院では、涙嚢吻合術は行っておらず、治療が必要な方は全身麻酔の可能な施設に紹介しております。

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