まぶたの痙攣(眼瞼痙攣)・片側顔面痙攣

まぶたの痙攣(眼瞼痙攣)

瞼がピクピクと痙攣して動くことを、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)と言います。痙攣し始めると連鎖的に続き、症状が出ないときは全くでない、というのも良くあることです。

痙攣の症状が出ていなくても、目を開いていられない、まぶしい、いつもしょぼしょぼしたり、異物感があったりなどの症状が続き、徐々に眼瞼痙攣の頻度が増え、人によっては目の周囲だけでなく顔まで痙攣してきて、目を開けることができなくなってしまう場合もあります。早期の症状の時から治療した方が治るケースもあり、また治療の効きが良いと言われています。

眼瞼痙攣の自己診断項目

  • まばたきが多い
  • 電柱や街路樹、停車中の車などにぶつかった事がある
  • 外に出た時又は室内でもまぶしく感じる
  • 階段の上り下り、太陽や風などが苦手で外出がおっくうだ
  • 目を開いているのがつらい
  • 危険を感じるので車や自転車の運転を控えている
  • 目が乾く・しょぼしょぼする・痛いなど、目の事が気になる
  • 手を使って目を開かなければいけない時がある
  • 人ごみで人やものにぶつかる、ぶつかりそうになる
  • 片目をつぶってしまう

上記のうち、1~2 項目当てはまれば眼瞼痙攣の疑いあり、3 個以上当てはまれば眼瞼痙攣に該当します。

原因

眼瞼痙攣が発症する原因は「脳の一部が機能障害を起こし瞬目(まばたき)のコントロールができくなっている」と考えられています。「眼瞼炎や結膜炎など、まぶたや角膜の病気に由来する刺激が原因になる」「抗うつ薬など別の病気で服用・使用した薬が引き起こした」などのケースもあります。まだ完全に原因が解明されているとは言えません。

治療方法

眼瞼痙攣の問診や瞬きのテストで状態を把握し、眼瞼痙攣の疑いがある場合には、症状の改善と治療的診断を目的として、ボトックス療法を行います。また、片側顔面痙攣の方にもボトックスは有効です。

ボトックス(ボツリヌス)療法

ごく微量(致死量の数百~数十分の一)のボツリヌストキシンを眼瞼部・眼窩部の数カ所に注射する。
日本でも保険適用が認められているが、内服薬などに比べ費用が高い。
米国を初め、いくつかの国のガイドラインでは第一選択とされ、改善率は90%前後というデータがありますが、効果は3~4ヶ月しか持続しない場合が多い様です。
まれに注射直後、副作用として瞼が閉じにくくなることがありますが、一時的なものです。

ボトックス注射の効果
  • 注射後、2~5日で効果が現れてきます。
  • 2~4週間で効果が最大になります。
  • 3~4カ月で徐々に減弱していき、再び注射前の症状に戻ります。

注射後、通常3~4カ月経過すると眼瞼痙攣の症状が再び出てきます。
まばたきが多くなってきた、まぶしさを感じるようになってきた、などの症状が再び出てきたら再投与の時期となります。

薬物内服治療

向精神薬や抗てんかん薬などを内服する治療法。ボトックス療法と併用する事で、ボトックスの効果が持続する方が多くなります。

スクラッチメガネや手術治療

眼瞼痙攣が進行している場合には、スクラッチメガネや手術の適用となります。
手術は、眼輪筋の切除と眼瞼下垂の手術を併用するものです。
しかし、手術後もボトックス療法は必要なことが多い様です。

片側顔面痙攣

左右のどちらか片側だけの顔面の筋肉が痙攣をおこす病気です。目の周囲からはじまり、数か月から数年に同じ側の目の周りなど、顔の下の方の筋肉に広がっていきます。
原因は、頭蓋内で顔面神経が動脈に接触しているため、その刺激で顔面神経が過敏な状態となり、痙攣が生じることになります。

診断

画像検査では、MRIとMRアンギオ検査を行い、顔面神経を刺激している動脈があるかを確認します。
又脳腫瘍や血管奇形などがこの病気に関与をいないかの確認も大切です。

治療方法

  • 手術的治療は、脳外科にて動脈による顔面神経の圧迫を解除します。手術による合併症もあるため、あまり積極的に行われていない印象があります。
  • ボトックス治療は、高齢の方・手術を望まない方に対し、症状を少しでも軽減する目的でボトックス治療を行います。当院でも片側痙攣に対しボトックス痙攣を行っています。ボトックス治療で、平均で約3か月程度痙攣が軽減できますが、徐々に効果が減弱しますので、定期的にボトックスの治療が必要となります。
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